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採用業務を効率化するには?
成果を落とさず採用工数を削減する方法を解説

近年、人材獲得競争の激化や採用手法の多様化によって、どんどん人事・採用担当者の負担が増大しています。だからこそ、「いかに採用業務を効率的に進めるか」が重要なのです。上手く採用業務を効率化できれば、担当者の負担が減るだけでなく、成果にもつながります。
この記事では、採用業務を効率化する目的や背景から、具体的に採用工数を削減する方法まで解説します。ぜひ、採用活動の改善材料として参考にしてください。
INDEX
1. 採用業務を効率化する目的
まず採用業務を効率化する目的を改めて整理しましょう。目的があいまいだと、効率化すべきポイントが見極められず、かえって非効率的になったり、成果の悪化を招く可能性があります。
1.1. より重要な業務に時間を使うため
採用業務を効率化する最大の目的は、ただムダを削るだけでなく、そのぶんの時間を「より重要な業務」に使うことです。採用活動には多種多様な業務が含まれますが、成果との結びつきが深いものと、そうでないものがあります。また、採用担当者がやるべき仕事と、ツールや他者に任せても問題ない仕事もあります。
特に重要なのは、採用戦略を検討する時間や、候補者と対面する時間です。事務的な作業を効率化し、限られたリソースをこうした重要度の高い業務に充てることで、採用の質と生産性が高まります。
1.2. 候補者体験を高めるため
採用業務を効率化することは、人事や採用担当だけのためではありません。非効率的な採用プロセスは、候補者にとってもムダが多くなりやすく、その観点でも見直す必要があります。
近年、企業が採用において「選ばれる側」になってきたことから、「候補者体験(Candidate Experience)」という考え方も注目を集めています。
選考スピードを早めたり、丁寧な対応に時間を使って、候補者体験を高められれば、それが結果的には採用の成果につながります。逆に、候補者体験が悪いと成果が出ず、さらに余計な手間やコストがかかります。採用の効率化を進める上では、そうした悪循環を断つことが大切です。
2. 採用業務の効率化が求められる背景
採用の効率化が求められる背景には、企業の採用を取り巻く環境の大きな変化があります。その背景を把握しておくと、今だからこそ真剣に採用の効率化に取り組むべき理由を理解いただけるはずです。
2.1. 人材獲得競争の激化
労働人口の減少や価値観の多様化により、「優秀な人材を確保したい」と考える企業間の争奪戦は激しさを増しています。帝国データバンクの調査でも正社員が不足していると回答した企業は50%を超えるというデータがあります。このような売り手市場では、候補者が複数社から内定をもらうことも珍しくありません。採用が非効率的で時間がかかりすぎると、他社に先を越されてしまうリスクが高まります。
人手不足に対する企業の動向調査(2025年1月)|帝国データバンク
https://www.tdb.co.jp/report/economic/20250221-laborshortage202501/
2.2. 採用手法の複雑化
これまで主流だった求人媒体や合同説明会だけでなく、ダイレクトリクルーティングや、リファラル採用、SNSなど様々な採用手法が生まれてきています。現代の採用担当者は、こうした様々な手法を使い分けて母集団形成を行うことが求められますが、手法が増えるほど管理が複雑になります。そのため、採用手法を効率的に運用する体制やツールの活用が、より重要となっているのです。
2.3. 人事の負荷増大
企業の人手不足は、人事も例外ではありません。Indeedの調査によると、採用担当者の72.4%が人事・採用以外の業務を兼務しており、業務全体のうち採用にかけられている時間は43.4%とのことです。このように、人事1人あたりが採用業務にかけられるリソースが限られているからこそ、上手く効率化して、最小限のコストで最大限の成果を出すことが求められます。
採用担当者の業務実態に関する調査|Indeed Japan株式会社
https://jp.indeed.com/press/releases/20211221_2
3. 採用業務が非効率になる原因
採用を効率化したいと思っても、実際には思うように進まないケースがあります。ここでは、採用が非効率になってしまう典型的な原因を4つ紹介します。
3.1. 社内の意思疎通が取れていない
採用の効率化というと、まずは事務作業が思い浮かぶかもしれませんが、意外と社内での確認やすり合わせに時間を取られていることも多いです。人事に加えて、現場の管理職や役員など、採用に関わる人が増えるほど、意思疎通に必要なコストが膨大になっていきます。
3.2. 判断基準が明確になっていない
どのような人材を採用したいのか、選考ではどんなポイントを見るのか、といった基準が明確になっていないと、採用に関わる各担当者が主観で判断してしまいます。すると、本来は不要な確認やすり合わせ、不毛な議論が生まれる可能性が高くなり、非効率的になっていきます。
3.3. 役割分担ができていない
あらゆる業務を採用担当者が抱えすぎてしまった結果、手に負えなくなって効率が落ちているケースもよくあります。採用担当者にしかできない仕事と、他の誰かに任せても問題ない仕事を区別し、適切に役割を分担することが、効率化のためには必要です。
3.4. ツールを活用できていない
候補者の管理や日程調整などを手作業で行うことも、採用工数を増やしてしまう大きな要因です。採用を効率化するためのツールは急速に進歩しており、そうした情報のキャッチアップを怠ったり、慣れ親しんだ環境を変えることに二の足を踏んでいると、なかなか効率化は進められません。
4. 採用を効率化する方法
では、実際にどのようにして採用を効率化すればよいのでしょうか。ここでは、6つの代表的な方法を紹介します。
4.1. 採用計画を見直す
まずは採用の土台となる計画を練り直すことが重要です。以下のような要素を明確にしておくことで、効率化を進めるための優先順位を考えやすくなりますし、後々の確認やすり合わせにかかる工数を押さえられます。
- 採用の目的
- 目標人数
- 人材要件
- 予算
- スケジュール
4.2. 採用手法を見直す
たくさん応募者を集めたいからと、様々な採用手法を活用していると、管理コストが膨大になってしまいます。そのため、自社のターゲット層が多い媒体に絞る、成果が出ていない手法は止めて別の手法に切り替えるなど、定期的に見直すことが重要です。
4.3. 選考プロセスを見直す
同じような内容の面接を何回もやっていたり、合否の判断に役立っていない試験を行っていたり、選考プロセスにも効率化の余地があります。選考にムダが多いと候補者の辞退率も高まりやすくなるため、「この工程は本当に実施すべきか」「この実施方法が最適なのか」など改めて検討してみましょう。
4.4. 社内で共通認識を作る
人材要件や選考基準について、採用担当者だけでなく、面接に参加する現場の管理職や役員とも共通認識を持つことで、採用活動における判断や議論を効率化できます。後から確認や要望が出たり、関係者で意見がぶつかる前に、あらかじめ採用の方針などを共有して認識を合わせておきましょう。
4.5. 新しいツールを導入する
採用担当者が自分の手で行う必要性の薄い事務的な作業は、積極的にツールを使って効率化することを検討しましょう。ただし、新しいツールの選定や操作の習得に、必要以上の手間がかかっては本末転倒です。あくまでツールは手段ですから、効率化という目的を忘れないようにしなければなりません。
4.6. 業務をアウトソーシングする
人手が足りなければ、採用代行(RPO)など外部のパートナー企業に、候補者への連絡や求人の掲載などを任せるのも1つの手です。もちろん完全に丸投げできるわけではなく、ある程度の指示やコミュニケーションは必要になるため、その管理コストと削減できる工数のバランスを見て依頼しましょう。
5. 採用プロセスごとの効率化ポイント
ここまで紹介した手法を、より実践的に活かしていくために、採用プロセスの各段階でどのように効率化を進めればよいかを解説します。
5.1. 採用計画
採用計画そのものをツールで代替したり、効率化することは難しいかと思います。会社の戦略や現状を踏まえて採用計画を練ることは避けられない業務であり、採用担当者が時間を割くべき内容です。むしろ、採用計画にしっかりと時間をかけておくことで、採用活動全体を効率化しやすくなります。
効率化のポイント
- 「なぜ採用が必要なのか」目的を考え直す
- 「いつまでに何名を採用したいか」目標を明確にする
- 人材の必須要件と歓迎要件を整理する
- 経営層とも認識を合わせる
- 現場の声をヒアリングする
- 感覚ではなく過去のデータをもとに計画を立てる
- 必要なコストの概算を見積もっておく
- 社内外での役割分担を決める
- 採用コンサルティング会社の支援を受ける
- 計画表をまとめて社内に共有する
5.2. 母集団形成
母集団形成を効率化するために重要なのは、むやみに多くの手法を試すのではなく、成果につながるものを見極めて集中することです。
効率化のポイント
- 採用ターゲットを明確にする
- ターゲットが利用していそうな手法を選ぶ
- 候補者にとっての自社の魅力を整理して打ち出す
- 募集開始のタイミングを変えてみる
- 必ず募集の結果を振り返って検証する
- 成果が出ていない手法は改善もしくは停止する
- 応募者の数だけでなく、質も見る
- 求人原稿の作成を採用代行などのプロに任せる
- エージェントなど採用担当の負荷が軽い手法を活用する
5.3. 書類選考
書類選考を効率化するために重要なのは、選考基準を明確にして、複数人でも手分けしても同じように判断できるようにすることです。また候補者の管理など事務的な作業も多いため、ツールなどで代替する余地もあります。
効率化のポイント
- 書類選考で確認するポイントと基準を明確にする
- 複数人で分担し、選考基準を共有する
- 選考チェックシートを作成する
- 適性検査を実施して、定量的に判断できるようにする
- 最低条件でのスクリーニングを採用代行に任せる
- 採用管理システム(ATS)を導入して候補者を管理する
- 候補者への連絡の定型文を作成しておく
5.4. 面接
面接を効率化する上では、候補者と対面して話す時間の密度を高めることを最優先に、それ以外のムダを削減していくのが重要です。
効率化のポイント
- 面接の回数と各面接の目的を見直す
- 初期段階の面接はオンライン化する
- 目的によってはグループ面接を実施する
- 面接の評価項目や質問例を社内で共有する
- 応募書類や適性検査の結果と見合わせて判定する
- 面接の内容を記録して次の担当者に共有する
- 候補者との日程調整をツール化する
5.5. 筆記試験・適性検査
筆記試験や適性検査は、採用担当と候補者の双方に一定の負荷がかかるプロセスです。一方で、適性検査の結果を上手く活用すれば、他のプロセスの工数削減にもつなげられます。
効率化のポイント
- 実施の目的を改めて考え直す
- オンラインで受検できるようにする
- ある程度は問題を固定化する
- 試験監督や採点を外部に委託する
- 受検結果をまとめて分析しやすい適性検査を活用する
- 受検案内の定型文を作成しておく
- 受検結果を他の選考プロセスや入社後にも活かす
5.6. 内定者フォロー
内定者フォローは、どうしても個別対応が必要になるため、できるだけ型化できるところを型化して、個別対応に十分な時間を使えるようにしましょう。
効率化のポイント
- 内定者への定期連絡のタイミングを決めておく
- 全員に必ず伝えるべき内容は定型文を用意する
- オンラインと対面を使い分ける
- 事前に座談会や懇親会などの企画を用意しておく
- 先輩社員などへの協力は早めに丁寧に依頼する
- 1人の採用担当に内定者からの相談が集中しないようにする
5.7. 入社手続き
入社手続きは、どの候補者にも基本的に同じような対応になるため、ツールなどを活用して効率化する余地が大いにあります。
効率化のポイント
- 入社までに必要なタスクをまとめて社内共有する
- 総務や労務など他の担当者との役割分担を明確にする
- 候補者への連絡の定型文を作成しておく
- 人事管理システムを導入して手続きをペーパーレス化する
5.8. 振り返り
そもそも、まともに振り返りをできていないという企業も多いかもしれませんが、採用を効率化する上で振り返りは非常に重要です。他のプロセスを効率化して振り返りの時間を捻出し、さらなる効率化に活かす、というサイクルを目指しましょう。
効率化のポイント
- 応募数や選考通過率などのデータをまとめて整理しておく
- 感覚ではなくデータをもとに振り返りを実施する
- 1年にまとめて1回ではなく採用プロセスごとに振り返る
- ムダの多い工程・作業を特定して改善策を考える
- 振り返った内容を次の採用計画に活かす
6. 採用の効率化でよくある失敗
最後に、採用の効率化を進める上で、よく陥りがちな失敗を4つ紹介します。
6.1. 全部まとめて改善しようとする
採用を効率化しようと思い立つと、様々な場面でムダが見えてきて、全部まとめて改善したくなるかもしれません。しかし、採用担当のリソースが限られている中で、一気に改善しようとすると、どれも中途半端になってしまったり、逆に生産性が悪化する可能性があります。まずは手間がかからず大きな効果が見込めそうなものから、優先順位をつけて段階的に進めていきましょう。
6.2. データではなく感覚で判断してしまう
「この手法はやってもムダな気がする」「この工程は負担が大きく感じる」といった感覚だけに頼ると、本当に効率化すべき工程や作業を見極めるのが難しく、実際に効率化できたのか検証もできません。何の作業にどれくらい時間がかかっているのか、それがどんな成果に結びついているのか、できる限りデータを集めて分析しましょう。
6.3. ツールを導入して満足してしまう
採用の効率化を進める上で、採用管理システム(ATS)などのツールを導入することは有効な手段ですが、導入が目的にならないよう注意が必要です。新しいツールを導入しただけで上手く活用されていなかったり、余計な手間が増えてしまっては意味がありません。ツールを導入する際には、どのように運用していくかまで設計しておきましょう。
6.4. 効率化を優先しすぎて質が低下してしまう
この記事の冒頭でも触れましたが、採用の効率化を進めるのは、より重要な業務に時間を使うためです。工数削減を意識するあまり、候補者の対応が雑になってしまったり、その結果として採用が上手くいかなくなってしまっては本末転倒です。「何を効率化すべきか」を考えるのと同時に、「何に時間を使うべきか」も考えましょう。
7. SPI3による採用の効率化
リクルートマネジメントソリューションズの適性検査「SPI3」は、以下のような場面で採用の効率化に役立ちます。
採用計画・振り返り
- 活躍社員の特徴を分析できて、人材要件設計の工数を削減
- 過去の候補者や内定者の傾向を簡単に分析できて、振り返りの工数を削減
初期選考
- 定量的な基準で候補者の能力・適性が見えて、合否判断の工数を削減
- 評価基準を選考担当者の中で共有できて、すり合わせの工数を削減
- 筆記試験に必要な、作問・採点・会場準備などの工数を削減
面接
- 面接で確認すべきポイントと質問例がわかって、面接準備の工数を削減
- 面接担当者の目線を揃えられて、合否判断・すり合わせの工数を削減
内定者フォロー
- 本人フィードバック用の結果報告書で、個別面談の準備工数を削減
- 内定者同士や先輩社員との相性が見えて、グループ分けの工数を削減
入社後
- 新入社員それぞれの特徴が見えて、研修担当への引き継ぎの工数を削減
- 育成支援用の結果報告書で、社員教育の工数を削減
ぜひ採用の効率化に、適性検査SPI3をご活用ください。