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売り手市場とはどういう意味?企業側への影響や採用におけるポイントを紹介

2025年03月26日
  • 採用のノウハウ

転職や採用における「売り手市場」の状況は、企業にとっては採用人数が確保しづらく、苦しい環境と言えます。売り手市場の状況下では採用活動をはじめとした業務にさまざまな影響が及びます。

 

本記事ではそんな売り手市場について、言葉の意味や判断方法、現状の傾向、求職者側のメリット、企業側への影響などを解説します。

転職や採用でよく聞く「売り手市場」「買い手市場」とは

はじめに、転職や採用の場面で頻繁に耳にする「売り手市場」「買い手市場」の言葉の意味を解説します。

 

売り手市場

前提として、転職や採用の場面で「売り手」は求職者側を、「買い手」は企業側を指します。そして買い手(企業)に比べて売り手(求職者)が少なく需要が多い状況、つまり仕事を探している求職者よりも、求職者を求める企業の求人数が多い状態を指して「売り手市場」と表現します。

 

買い手市場

買い手市場は売り市場とは真逆です。売り手(求職者)に比べて買い手(企業)が少なく需要が多い状況、つまり求職者を求める企業の求人数よりも、仕事を探している求職者が多い状態を指して「買い手市場」と表現します。

 

売り手市場か買い手市場かは有効求人倍率で判断ができる

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現在が売り手市場か、それとも買い手市場かを判断する際には有効求人倍率が使用されます。

 

有効求人倍率とは、公共職業安定所(ハローワーク)で取り扱う求職者数に対する求人数の割合です。一人の求職者に対して、どれだけの数の求人があるかを示す指標となっています。

 

有効求人倍率は「月間有効求人数(※1)」を、「月間有効求職者数(※2)」で割って算出される数値です。この有効求人倍率が1倍以上の場合は売り手市場、未満の場合は買い手市場と判断できます。

月間有効求人数(※1)÷月間有効求職者数(※2)=有効求人倍率  

※1:前月から繰越された有効求人数と当月の「新規求人数」の合計数

※2:前月から繰越された有効求職者数と当月の「新規求職申込件数」の合計数

 

参照:厚生労働省「一般職業紹介状況(職業安定業務統計):集計結果(用語の解説)」

現状の傾向は?売り手市場が続いている?

厚生労働省の最新データを参照すると、有効求人倍率は2024年12月時点で1.25倍でした。つまり現状は売り手市場であると言えます。

 

実は日本は長く売り手市場の状態が続いています。2013年11月以降、有効求人倍率が常に1倍を超えており、ピーク時には1.5〜1.6倍を維持していました。

 

その後、新型コロナウイルス感染症の流行もあって一時的に1倍近くまで大きく落ち込んだものの、再び数値が上がり、現在は1.25倍付近を維持しています。

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※数値は季節調整値

 

参照:有効求人倍率(実数、季節調整値)

 

なお、売り手市場が続いていることで日本企業の採用状況、及び学生の就活状況にはさまざまな変化が起こっています。

リクルートマネジメントソリューションズが調査した「2025年新卒採用 大学生の就職活動調査」の結果を見てみると、まず企業・学生ともに採用活動・就職活動が早期化しており、卒業前年の2月までには3割以上の企業が内(々)定出しを開始しています。

 

そして、政府の指針で採用選考活動開始とされている6月1日時点で学生の8割以上が内定を保有、6割以上が就職活動を終了しています。

 

さらに売り手市場化は現在も進んでおり、25卒採用において2024年10月1日時点で2社以上から内定を得ている学生の割合は66.0%、5社以上から内定を得ている割合は11.3%と、過去3年で最も高い割合となっています。

 

就職活動の動向や学生の思考や価値観の違いについて、詳しい情報を下記でご紹介していますので、ぜひご参照ください。

>>2025年新卒採用 大学生就職活動調査 採用・就職活動の動向と、学生の志向・価値観の変化

 

売り手市場によって求職者側が得られるメリット

求人数が多い売り手市場になると、求職者側には以下のようなメリットがあります。

 

条件の良い求人を見つけることができる

求人数が多いということは、条件の良い求人も見つけやすいということです。特に近年は金銭的な安定を求める求職者が増えています。

 

リクルートマネジメントソリューションズが実施した「2025年新卒採用 大学生の就職活動調査」では、学生が仕事に求めることとして「金銭」を特に重要と選択した方は24卒では26.9%だったところ、25卒では30.0.%と上昇しています。また他の項目と比較した際、前者は「安定」「貢献」「成長」に続いて4位だったところ、後者は「成長」を上回り3位となりました。

 

このように、給与面の条件が良い求人は需要が高い傾向にある現在、売り手市場で条件の良い求人を見つけやすくなっていることは求職者にとってのメリットと言えるでしょう。

 

内定の時期が早くなる可能性がある

求職者の割合が少ない売り手市場では、企業側が人材の早期確保に尽力するため内定の時期が早くなる可能性があります。実際に前述のとおり、過去と比較して内(々)定出しを早くに開始している企業は多い傾向にあります。

 

学生としても早くに就職活動を終えることを希望する方が増えていることから、「内定の時期が早くなる」というのも売り手市場における求職者にとってのメリットと考えられます。

 

自分に合った企業を見つけやすくなる

求人数が多いということは、多様な条件の企業が揃っているとも言えます。近年の学生は安定や金銭の他に、「自分のやりたい仕事ができるか」「労働時間や勤務スタイルに魅力があるか」なども重視する傾向にあり、こうしたさまざまな観点から自分に合った企業を見つけやすくなります。

売り手市場によって企業側にはどんな影響があるのか

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では反対に、売り手市場によって企業側にはどのような影響が及ぶのでしょうか?

 

人材の確保が困難になる可能性がある

求人数が多いということは、学生にとって選択肢が広がるということ。一方で企業にとっては就職を希望する学生を獲得しにくく、自社が求める人材の確保が困難になる可能性があると言い換えられます。

 

他社との差別化が必要になる

求人数が増えるということは、すなわちライバルとなる比較対象の企業が増えるということです。

 

多くの比較対象の中から自社を選んでもらうために、他社との差別化や、他社よりも魅力的な会社であるとアピールする必要が生じます。

 

採用のミスマッチが起こる可能性がある

求職者の選択肢が広がると就職や転職のハードルが下がることから、求職者側が十分な企業分析やキャリアの棚卸しができないまま就職・転職活動をしてしまいます。

 

結果として企業が求めている人材と、求職者側が理想としている仕事内容でのミスマッチが発生する可能性が考えられます。

 

定着率を高めるための体制を整える必要がある

採用できたとしても社内環境や教育体制が整っていない場合、転職のしやすさから人材が定着せず、長く働いてもらえないといったことが起こる可能性があります。

 

定着率を高めるために労働環境や体制を見直して、整えていくことが必要です。

売り手市場で企業が見直すべきポイント

売り手市場の状況にある場合、企業は以下のポイントを見直すべきと言えます。

 

採用手法を見直してみる

求人広告、人材紹介、ダイレクトリクルーティングなど採用手法は多岐にわたります。現状の採用手法を見直すことで、自社が求める人材をより確保しやすくなるケースがあるため、最適な採用方法を見極めることが重要です。

 

採用手法の一つであるダイレクトリクルーティングについては以下の記事を参考にしてください。

>>採用手法の一つ「ダイレクトリクルーティング」とは?メリットや採用力を高めるポイントを紹介

 

選考プロセスを見直してみる

複雑な選考プロセスは求職者にとって応募のハードルが高いと感じてしまいます。プロセスを見直し、不要な部分を省略することで応募のハードルを下げ、人材確保につなげることができます。

 

採用課題を洗い出してみる

採用における課題を洗い出し、改善すべきところを考えることも大事なポイントです。

 

採用における課題には、たとえば以下のようなものがあります。

 

  • 求める人材がこない
  • 面接辞退・内定辞退が多い
  • 入社後の定着率が低い

 

このような課題ごとに原因を追及し、改善施策へと落とし込むことが大切です。

適性検査SPIで採用の精度を高めミスマッチを防ごう

売り手市場の傾向にある現在は、企業にとっては人材の確保がしづらく、また採用のミスマッチが起こりやすいというデメリットがあります。従来通りの採用活動ではなかなか成功に結びつかないと感じるケースが増えているかもしれません。

 

採用の精度を高めるのであれば適性検査SPI3の活用をおすすめします。適性検査SPI3は選考や面接、内定後のフォロー、人材配置など、採用に関わる多様な課題を解決に導きます。ミスマッチを防ぎ、自社で活躍できる人材の獲得を支援することが可能です。

 

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まとめ

本記事では売り手市場について、言葉の意味や判断方法、現状の傾向、求職者側のメリット、企業側への影響などを解説しました。

 

売り手市場は求職者側にメリットが多い一方、企業にとっては苦しい状況であるケースが大半です。特に採用面に関しては人材の確保がしづらくなり、せっかく雇用した人材もミスマッチが起こる可能性があるため、採用手法を見直すことが大切です。

 

採用のミスマッチを防ぐには、ぜひ適性検査SPI3をご活用ください。適性検査の結果をもとに候補者それぞれの職務や組織との相性を確認することで、事前に自社で定めた基準に照らした採用をすることができます。採用の精度を高め、入社後の人材配置や育成にも役立てることができます。

 

適性検査の導入を考えている方は、ぜひSPI3の資料をお申込みください。パンフレットや報告書の見本など、ご検討に必要な資料一式をお送りいたします。

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