お役立ちコラム

新卒採用の振り返り方法|進め方・ポイント・
見るべき指標・改善策を徹底解説

2025年03月07日
  • 採用のノウハウ

採用活動を振り返って見直したいけど、結局いつも前年のやり方を踏襲してしまっている...。そんな経験はありませんか?

HR総研の調査では、2024年卒採用までの振り返りについて、中小企業の約4割が「実施しなかった」と回答していました。振り返りを実施した企業でも、約半数が振り返りに要した時間を「4時間未満」と回答しています。

新卒採用の早期化が進む中で、「翌年の準備に追われて振り返る暇がない」というお悩みを聞くことは多いです。しかし、採用市場が激しく変化している今、振り返りができていないと、自社の課題を改善できず採用目標を達成できない状態が続いたり、自社が求める人材と応募者・内定者のズレが大きくなっていったりと、どんどん厳しい状態になってしまう可能性があります。

この記事では、新卒採用の振り返りの進め方、重要な観点、見るべき指標、改善の打ち手を網羅的にまとめました。新卒採用の振り返りに取り組むために、さらに有意義な振り返りを実施するために、ぜひ少しでも参考にしていただければ幸いです。

2025年&2026年新卒採用動向調査(6月)結果レポート|HR総研https://www.hrpro.co.jp/research_detail.php?r_no=388

1. 新卒採用における振り返りの目的と重要性

なぜ振り返りをする必要があるのか、改めて整理しましょう。振り返りの目的は、大きく2つです。

1-1.課題(改善したいこと)を見つける

振り返りの最大の目的は、「想定と違った点」や「上手くいかなかった点」を洗い出し、翌年以降の改善につなげることです。前年度を振り返って課題を抽出できていないと、改善につながるかわからない思いつきのアイディアを闇雲に試すしかなくなってしまい、貴重な時間や予算を大きくムダにしてしまいかねません。

1-2.成功(再現したいこと)を見つける

意外と忘れられがちですが、振り返りではネガティブな面にばかり目を向けるのではなく、「良かった点」を明確にすることも重要です。上手くいった要因を振り返って分析しておくことで、その年だけの偶然の成功で終わらせることなく、翌年度も同じように良い結果を再現できる可能性が高まります。

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2. 新卒採用の振り返りの進め方

具体的な振り返りの方法を解説します。何から始めればいいか迷う場合は、以下の5ステップに沿って振り返りを進めてみてください。

  1. 当初の目的と計画を再確認する
  2. 仮説を立てる
  3. 必要なデータを集める
  4. 課題と要因を特定する
  5. 翌年の改善策を考える

2-1. 当初の目的と計画を再確認する

新卒採用で何を実現したかったのか、どれくらいの目標を掲げて、どのような計画を立てていたのか、改めて確認します。これらの内容を忘れて振り返りを進めると、理想と現実の差分が見えず、ただ数字を確認するだけになってしまいがちです。また、「そもそも目標と計画に無理があった」という課題が見えてくる可能性もあります。

採用活動の目的は、単に目標人数を達成することではなく、「自社で定着・活躍する人材」を必要な人数だけ採用することです。しかし、人材要件があいまいだと、そもそも「自社が求めている人材を採用できたか」を振り返ることができません。そうした場合は、まず人材要件を明確にすることを来期のテーマに設定しましょう。

2-2. 仮説を立てる

大まかな結果と所感をもとに、「例年に比べてエントリーが少なかったのでは?」「内定者のフォローが不十分で辞退されてしまっていたのでは?」といった仮説を立てます。あらかじめ仮説を立てておかないと、確認すべき指標の目星を立てられず、どのように振り返りを進めるか迷いやすいです。いざデータを確認しても、それが良い結果なのか悪い結果なのか、何が原因なのか、などの判断もできません。

2-3. 必要なデータを集める

仮説を検証するために詳細なデータを集めます。データの収集において重要なのは、「エントリー数」などの定量的なデータと、「面接者の評価」などの定性的なデータの両方を集めることです。具体的に振り返りで確認することが多い指標の例は、以降の章に詳しく記載していますので、そちらも参考にしてください。

2-4. 課題と要因を特定する

収集したデータを分析して、「どこに課題があったのか」を確かめます。課題を特定できたら、次に「なぜそうなったのか?」と再び仮説を立ててデータを集め、要因を探ります。課題の特定には定量的なデータが役に立ち、要因の特定には定性的なデータが役に立つことが多いです。課題だけでなく、達成できた目標や良かった結果の要因についても分析すると、翌年以降にその成功を再現しやすくなります。

2-5. 翌年の改善策を考える

特定した課題を解決するための打ち手を検討します。ここまで振り返りを着実に進めていれば、漠然と新卒採用を良くするためのアイディアを出そうとするよりも、考えやすいはずです。具体的にどのような打ち手の例があるかは、以降の章に詳しく記載していますので、そちらも参考にしてください。

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3. 振り返りで重要な4つの観点

振り返りを進める際は、「成果」と「プロセス」、「数」と「質」という4つの観点で見ていくことが重要です。それぞれの観点で、どのようにデータを集めればよいかも含めて解説します。

3-1. 「成果」を振り返る

目的・目標に対する達成度合い、自社の例年のデータや他社の一般的な水準との比較などから、新卒採用全体もしくは各施策が「結果として上手くいったのか」を振り返ります。まずは成果の良し悪しがわからないと、課題を深掘りして改善点を考えるべきなのか、翌年以降も継続で良いのか、判断できません。

3-2. 「プロセス」を振り返る

成果を振り返るのは大切ですが、「目標人数はクリアしていたからOK」と結果だけ見て終わってしまうと、その過程にある課題を見逃してしまいやすいです。エントリー/書類選考/一次面接/二次面接...といった形で、新卒採用活動を各プロセスごとに区切って、「どの段階に課題がありそうか」を振り返るのも忘れないようにしましょう。

3-3. 「数」を振り返る

成果とプロセスのそれぞれについて、「エントリー数」や「選考通過率」などの「数」を振り返ります。「数」は誰が見ても変わらない客観的な事実であり、目標の達成度や例年との比較などの分析がしやすいため、課題を特定するのに役立ちます。ただし、「エントリー数は例年より多かったが選考の負荷が増えて大変だった」といったケースもあり得るため、一部の数字だけを見て判断しないよう注意が必要です。

3-4. 「質」を振り返る

「数」だけ見ても、新卒採用が上手くいったのか判断することはできません。「自社で活躍できそうな学生を採用できたか」「面接での学生は自社のことを理解していたか」といった「質」の観点で振り返ることも重要です。一方で、「質」を振り返る材料を集めるには、内定者へのアンケートや社員へのヒアリングなどが必要なため、手間がかかります。客観的な数字と違って、個人の解釈が含まれやすく、判断にブレが生じやすいのも、「質」の振り返りの難しさです。そんな中、適性検査は「質」を定量的なデータで測定・分析できる数少ない手段のため、「質」の振り返りに課題を感じている場合は、上手く活用できると良いかもしれません。

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4. 振り返りで見るべき指標の例

新卒採用の振り返りで見ることが多い指標の例を、定量・定性の両方で網羅的に紹介します。何から見れば良いか迷ったら、参考にしてみてください。

4-1. 定量的な指標の例

4-1-1. エントリー数

目標としていたエントリー数を集められたか、就活ナビサイトやエージェントなど各チャネルでの傾向や比率にどれくらい差があるかを見ます。

4-1-2. イベント参加数

合同企業説明会や自社説明会などイベントの規模・内容、もしくは開催時期ごとに、参加者の数を比較します。

4-1-3. 選考通過率

書類選考/適性検査・筆記試験/一次面接/二次面接...と選考の各プロセスごとに通過率を算出して、どの段階での離脱が多いか確認します。

4-1-4. 適性検査・筆記試験の結果

適性検査や筆記試験を実施している場合は、その得点や回答の内容を見て、自社の採用基準に合った学生が来ているか、検査・試験の内容は適切かを確認します。

4-1-5. 内定承諾率

内定出しに対してどれくらいの学生が承諾したかを確認し、選考での動機付けや内定後のフォローが十分だったか考えます。

4-1-6. 採用人数

目標としていた採用予定数に対して、実際に採用できた人数を見ます。職種別・コース別に採用している場合は、それぞれの内訳を確認します。

4-1-7. 採用コスト

新卒採用全体にかかったコストと、採用1名あたりのコストを算出し、例年の実績や他社の平均と比較します。リクルート就職みらい研究所「就職白書2022」によると、新卒1名あたりの平均採用コストは93.6万円とされています。

4-1-8. 採用活動の期間

新卒採用全体にかかった期間や、各選考にかかった期間を確認し、タイミングを早めたり、短縮できる余地はないか検討します。

4-1-9. 入社後の定着率

入社から1~3年の定着率を追うことで、採用段階のミスマッチがなかったかを判断する指標にできます。

4-2. 定性的な指標の例

4-2-1.エントリーシート・履歴書の内容

志望動機・自己PRや、大学の専攻・研究内容、アルバイト・インターンシップの経験などから、自社に応募してくれた学生の性格タイプや志向性、自社への志望度・理解度の高さなどを見ます。

4-2-2. 面接での受け答えの内容

面接の質問リストや面接者のメモを見て、どんな回答をした学生が選考通過しているか、面接者の質問内容や話し方は適切かを確認します。

4-2-3. 面接者の評価

合否の判断に使った資料や、面接者へのヒアリングを通して、どんな学生が高く評価されているか、その評価基準に面接者ごとのズレがないかを確認します。

4-2-4. 内定者の納得度

内定者へのアンケートやヒアリングを実施して、入社の意思はどれくらいあるか、疑問や不安はあるか、他社と比較してどうか、などを確認します。

4-2-5. 入社後の満足度

入社から1週間~1ヶ月程度で新卒社員にアンケートやヒアリングを実施し、入社前後でのミスマッチがないかを確認します。

4-2-6. 配属先での評価

新卒社員が配属された部署のマネージャーや先輩社員にも、アンケートやヒアリングを実施し、採用基準と現場の目線にズレがなかったか確認します。

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5. 振り返り後の改善の打ち手の例

見つけた課題に対して、改善方法が思いつかないこともあるかと思います。よくある打ち手を紹介しますので、自社で実行できそうな内容がないか、ヒントにしてみてください。

5-1. 目標人数を変える

採用人数が目標を大きく下回っていたり、選考や入社後の育成の負荷が高すぎる場合は、そもそもの目標人数が適切だったのか、見直します。

5-2. ターゲットを変える

思ったようにエントリーが集まらなかったり、自社にマッチしていない学生が多かった場合は、ターゲットとして狙う学生の属性や人物像を、改めて考えます。

5-3. 母集団形成の手法を変える

あまりエントリーが集まっていない手法を止めて、上手くいっている手法を強化する、もしくは別の新しい手法を検討します。

5-4. 訴求・メッセージを変える

ターゲットは変えずに、就活ナビサイトに記載する内容や、説明会でアピールする内容などを変えることで、学生の興味関心を惹けるようになる可能性もあります。

5-5. 選考のプロセス・内容を変える

選考での辞退やミスマッチが多ければ、面接の回数を増やす・減らす、質問内容を変える、適性検査や筆記試験を導入する、オンラインで実施できるようにする、などの方法でアップデートします。

5-6. 内定者フォローの内容を変える

内定辞退が多ければ、懇親会や座談会を実施する、定期的なコミュニケーションを増やす、などの方法でフォローを手厚くすることを検討します。

5-7. 採用予算を変える

各種施策を十分に実施できていなければ予算を増やす、逆にコストがかかりすぎているのであれば、予算を抑えて効率化することを検討します。

5-8. 担当者・体制を変える

各種施策を実施できない原因が人員不足であれば体制を増強します。選考に課題があれば、面接者やリクルーターなどの人選を見直すことも考えます。

5-9. 採用スケジュールを変える

新卒採用の準備・開始時期を早める、通年採用にシフトする、などスケジュールを変えることで、学生の数・質を高められる可能性があります。

5-10. 新しいツールを導入する

採用担当の負荷が高かったり、ムダが生まれていることが課題であれば、採用管理システムや適性検査などのツールを導入して、効率化することを検討します。

5-11. 振り返りの方法を変える

これまでとは異なる視点でデータを見たり、その年の終わりだけでなく採用活動中にも定期的に小さく振り返るなど、振り返りの方法自体を見直すことも大切です。

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6. 振り返りの注意点

最後に、新卒採用の振り返りで注意したいポイントを3つ紹介します。

6-1. 前年との比較だけで考えない

新卒採用は社会情勢や就活ルールの変更など外部環境の影響を受けやすく、学生の行動やトレンドも毎年変化します。たとえば前年よりエントリー数が少なかったとしても、自社の新卒採用に問題があったとは言い切れません。あくまでも前年との比較は参考材料の一つとして、その数字だけに振り回されないようにしましょう。

6-2. 社内への報告を目的にしない

上司や経営層への報告が目的になってしまうと、報告書を整えることに時間を使ってしまったり、問題点を隠して上手くいったように見せようとしてしまいがちです。データを綺麗にまとめて報告しても、翌年の改善につながらなければ振り返りの意味がありません。振り返り本来の目的を忘れず、データの分析と報告だけで終わらず、具体的なアクションに結び付けることを意識しましょう。

6-3. 改善に優先順位をつける

振り返りで課題を大量に洗い出せても、すべてを一度に改善するのは現実的ではありません。それぞれの取り組みにかけられるリソースが中途半端に分散してしまうと、上手く改善につなげられないことが多いです。予算や体制を踏まえて改善策に優先順位をつけ、成果への影響度が高い、もしくはすぐに取り組めるものから取り組んでいくと良いでしょう。

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7. まとめ

新卒採用の振り返りについて、進め方、重要な観点、見るべき指標、改善策の例、注意点まで、幅広く解説しました。この記事に書かれた内容を、そのまますべて実行する必要はありません。まずは振り返りの機会を確保することが、何よりも重要です。そして迷ったらこの記事を何度も読んで参考にしていただきつつ、自社でも実施できそうな内容から少しずつ始めていってください。振り返りと改善を繰り返すことで、着実に新卒採用の成功に近づいていくはずです。

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8. 振り返りに役立つ適性検査「SPI3」

リクルートマネジメントソリューションズの適性検査「SPI3」は、新卒採用の振り返りでよくある以下のようなお悩みを解決します。

  • 何を軸にして振り返りをすればいいかわからない
  • 新卒採用のデータを集めて分析するのに手間がかかる
  • 振り返りをしても、課題を見つけられない
  • 学生の「質」を振り返るのが難しい
  • 社内で報告するための資料づくりが大変

SPI3には、学生の受検結果から分析レポートを出力する無料の機能があり、振り返りの迷いや手間を削減できます。学生の性格の特徴や組織風土との相性をデータ化できるため、担当者の主観が入ってしまいがちな「質」の振り返りの精度向上にもつながります。レポートには数値やグラフだけでなく解説コメントも記載されていて誰でも読み取りやすく、社内での共有もスムーズです。

<SPI3の分析機能でわかることの例>

①受検者のグループごとの比較

「内定者と辞退者」「文系の学生と理系の学生」など、様々な切り口でグループ分けして比較レポートを出力でき、それぞれの能力や性格の傾向の違いが一目でわかります。

②受検者の性格タイプ別マッピング

「どんな組織風土に合うか」という視点で受検者を4タイプに分類してマッピングしたレポートを出力でき、特定の性格タイプが多い・少ない、バランスよく分かれている、などを分析できます。

③他社の傾向との比較

自社の結果と代表的な業界のSPI3の結果傾向を比較でき、同じ業界の傾向と自社の傾向に違いはあるか、自社と似ている業界はあるか、といった視点から自社の特徴を掴むことができます。

ぜひ新卒採用の振り返りに、適性検査SPI3をご活用ください。

SPI3のサービス詳細がわかる資料はこちら

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