導入事例

自社らしい「求める人物像」を客観データで設計
~きめ細かい職種別活躍人材可視化への挑戦~

コニカミノルタジャパン株式会社
目的・課題

感覚的には「求める人物像」が共有化されていたが、 データによる裏付けがなく、やや曖昧な状態であった

SPI3の
活用方法

従業員にSPI3 for Employeesを実施し、全社傾向からコニカミノルタジャパンらしさを確認。職種別の活躍人材についても分析し、職種別の特徴を把握。データに基づいて「求める人物像」を設計した。

効果

人事内で「求める人物像」を共有することで、スムーズに採用活動の 企画・推進を行うことができている

タレントマネジメントシステムにも搭載し、上司・部下間の コミュニケーション促進に活用している

会社としてダイナミックな転換が迫られつつある

私が当社に入社したのは2018年です。当社に入社する前のキャリアとしては営業と人事を経験しています。人事としては約18年のキャリアがあり、一貫して採用に関わっています。コニカミノルタジャパンでも、新卒・キャリア採用の企画・マネジメントを担っています。当社への入社動機は、前職までの人事とIT業界での経験が生かせるのではという点、もう少し大きな視点としては、当時コニカミノルタジャパンが会社としての転換期にあったことが挙げられます。

これまで当社はオフィス向けソリューションを中心とした情報機器事業を主力事業として展開してきました。しかし当時は、事業のポートフォリオを転換する必要性を全社的に感じており、グループ全体でテーマに掲げ始めていた時期でした。

当時、情報機器の事業がグループ全体の売上の6割程度を占めていたのですが、今後より一層成長していくためにこれまでのITを活用して、新たな事業・ソリューションを展開していこう、そして情報機器以外の事業もより大きく成長していこうというタイミングだったのです。

会社として変わろうとしているタイミングだったので、これまでのIT業界での知識や採用業務での経験が活用できるのではないかと面白さを感じたことを覚えています。

入社してから仕事・組織に対して大きなイメージギャップはなく、事業変革のタイミングで採用活動に携われることにやりがいを感じています。社風としては、誠実に仕事に取り組む真面目な社員が多く、仕事を縦割りで分割しすぎず協力し合って進めていく特長があり、私自身も採用以外の業務に携わることが多々あります。

採用はインテグリティーを重視し、できる限りオープンに

新卒・キャリア採用を合わせると年間100名以上採用しているので、1年中何らかの採用業務に関わっています。事業状況をウォッチして、部門長とコミュニケーションを取って採用計画を策定し、実行するまで採用のすべてのプロセスに関与しています。

採用で常に大事にしていることは「インテグリティー(誠実さ)」です。
グループで掲げる6つのバリューのなかで「Open&honest」を採用では重視しており、採用候補者に対してできるだけ誠実に、クリアに情報開示することを心がけています。

会社の魅力を伝えて動機付けすることも必要ですが、きれい事だけではなく課題なども正直に伝えないと、入社後ギャップにつながってしまいます。
例えば、私が入社した頃は「働き方改革」のムーブメントがありました。
ただし、社内的には多少なりとも温度差があったのです。情報機器事業では働き方改革をサービスとして提供していることもあり推進していたのですが、ヘルスケア事業では現場の実情を考慮する必要がありました。具体的には、お客様である医療機関への営業は、お昼休みや夕方以降の時間帯になることもあり、何でも自分の裁量で進めることができるといった状況ではありません。
採用の場面では、この辺の実情をきちんと伝えたうえで、致命的な入社後ギャップを減らすことに注力しています。

採用業務を担い、それ以外の業務では社内のメンバーとの接点も増えていくなかで、「求める人物像」に曖昧さが残っている点が気になるようになりました。
先ほどの6つのバリューにあるような、当グループらしさ・当社らしさは人事・面接者の間でも共通の感覚があったのですが、もう一段データの補強によって言語化や可視化ができないものかと考えたのです。

実際の業務内容を踏まえた際に、同じ営業職であっても顧客・事業が異なる場合には活躍しやすい人材タイプも異なるのではないかという疑問もありました。そこまで見えてくると、異動・配置など、採用以外の人事施策にも活用できそうだ、と考えていました。

採用で活用するアセスメントを刷新

そこでまず、採用選考にSPI3を導入しました。
グループは「1KM(コニカミノルタ)」というポリシーを掲げており、グループ全体での連携を大切にしています。あらためて求める人物像を検討するうえで、まずはコニカミノルタと同じアセスメントツールを導入したい、と考えました。

SPI3を導入し、手始めに面接での深掘り質問などに活用しました。採用での活用が浸透してきたタイミングで、「求める人物像を可視化する」取り組みを進めたかったのですが、既存社員のデータがないという問題に突き当たりました。できれば頭で想像する「求める人材」ではなく、「実際に活躍している人材」をもとに人物像の基準をつくりたいと考えたのです。

そんなタイミングで、リクルートマネジメントソリューションズから従業員向け適性検査「SPI3 for Employees」の紹介を受けました。

このアセスメントを実施して、当社社員の傾向分析をすれば、採用の基準づくりに客観的な補完ができるのではと考えました。それだけではなく、社員自身のキャリア開発にも活用できる可能性があると思い、導入を決定しました。

仮説として感じていた職種別の傾向が分析でクリアに

2023年11月にSPI3 for Employeesを現社員に向けて実施し、その後、採用の基準づくりのために職種別をはじめとした各種分析を行いました。

社員の全体結果分析からは「真面目な人が多く、仕事に対して真摯」という傾向が印象的でした。当社は、黙々と1人で営業を推進するというより、お客様の情報を整理し、社内の先輩にも相談しながら課題解決するスタイルが強いという特性があります。そのような実直さや誠実さを重視する風土が、データにも表れていました。
調和重視の社員が多い、という点も特徴的でした。今後の事業戦略上は、もう少し野心的でパワフルな人も意図的に採用すべきかもしれないとも感じました。

「職種によって活躍人材傾向が違うのでは?」という仮説については、職種別の分析をすることで、かなりクリアになりました。
例えば「エンジニアはタフで持続力がある、営業は対人構築力が強いのではないか」など、おぼろげに想定していたことが統計的に明確になったことは、採用に展開する手応えにつながったと思います。エンジニアは顧客との納品接点で信頼関係を築きながら、顧客のいうことをそのまま受け止めるのではなく積極的・持続的に提案を行っていくことが求められる、営業はさまざまな専門家の力を借りながら、顧客のニーズに対して良い提案を練っていくことが求められる、といった仕事の特性が表れていました。

上司とメンバーのコミュニケーション促進にも活用

分析とは視点が異なりますが、SPI3そのものの結果も非常にフィット感が高いものでした。
特徴が浮き彫りになるだけでなく、フィードバック用シートが非常に見やすく、受け入れやすいアウトプットだと感じました。

部署内でトライアルを行った際に、私自身メンバーの知らない一面をSPI3から知ることができ、コミュニケーションのきっかけとなることがありました。相互理解の促進になればと、自分の結果もメンバーに公開しています。

コミュニケーション促進に使える実感を踏まえ、人事部内の他のグループと相談し、上司と部下のキャリアに関する面談に活用できないかと考えました。この面談は現在の満足度や中長期のキャリアなどがテーマで、目の前の仕事から少し離れたコミュニケーションの機会と位置づけられています。
そこで本人は自己を理解し、上司はメンバーを理解したうえで面談に臨めば、よりキャリア自律を推進できるのではないかと考えました。

そのため社内のタレントマネジメントシステムに結果をアップすることで、自分の結果と上司の場合はメンバーの結果も閲覧できるようにしました。

このような活用を想定し、あらかじめ「結果は本人に返却する」ということは伝えたうえで受検依頼を進めていきました。そのおかげか、受検率は90%と高いものでした。
誰しも自分を把握することには興味があるということと、「キャリア自律」の推進が当社内でもテーマになっていたところがありましたので、タイムリーな実施だったのかもしれません。

データを入り口として多方面の施策へと展開

採用の際に「求める人物像」を客観的データで可視化するという目的においては、今回の取り組みで、出発地点に立てたと感じています。

本年度の採用においては、以前より明確になった求める人物像を念頭に置きながら、良い採用を進められている実感を持っています。

今後は現場の面接官への共有・浸透、面接評価表の刷新・面接の履歴を厚めに残すようにしていくなど活用を進めていくなかで、さらに面接精度を上げていきたいと考えています。

また、せっかく全社員の協力のもとに収集したデータとして、キャリア採用への展開や、既存社員の育成・フォローや配置・異動にも活用できる可能性を感じています。
バックオフィス系など、他職種の分析を進めることで、さまざまな活躍可能性を共有していく、などできると嬉しいですね。

さらに、社員と上司とのコミュニケーション促進につながればと思っています。
適性検査の結果をもとに深い面談をすることで、本人も上司も気づいていなかった新たな可能性が開花するかもしれません。

人事部 宮脇 真弘様 

コニカミノルタジャパン株式会社

従業員数:
3,245名(2024年4月現在)
業種:
専門商社 
課題:
  • 人材要件設計

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