導入事例

深い人物理解により一人ひとり個性が花開く
~多様な価値観を受容するための人物理解の取組み~

ポノス株式会社
目的・課題

組織拡大にともない人事評価制度を新設。さらに個人の個性を引き出すためにアセスメントツールによって個性の可視化を目指した。

SPI3の
活用方法

全社員にSPI3 for Employeesを実施。本人にフィードバックし、上司に対して人事が個別面談をしながら結果の活用をフォローした。

効果

上司のメンバー理解の促進、メンバー同士の相互理解につながっている。今後は、人事評価フィードバックに生かす予定。

次ステージに進化するため人事評価制度を新設し組織を強化

ポノスは今年で創業33年です。ベンチャー企業としてゲーム開発をスタートしましたが、社員数は創業時の20人から今や200人に近くまで増えています。創業時からこれまで人事評価制度はなかったのですが、組織強化のために2020年に新しい制度を作りました。

人事を担当する私たちが入社したのも、評価制度導入などHR変革が始まった頃でした。前職では銀行や医療機関といった別の畑にいたのですが、当時から人に対しての興味が強く、ベンチャーならではの「人・組織づくり」に携わりたいと思い、当社に入社しました。

組織強化の肝と置いていた人事評価制度 は、年功序列などの考えではなく、「会社のビジョンに則して自身のスキルを最大限発揮して結果を出している社員を評価する」という考えを軸にして設計しました。当時は「中長期のキャリア開発を社内でどのように実現するのか?」がというテーマが若い社員のみならず全社的なテーマでもありました。公平な評価の実現によりそうした人事課題の解決にもつながると考えました。

謙虚さは自己理解から生まれ、一人ひとりの個性の発現につながる

当社が創業からずっと大事にしているのは「一人ひとりの個性・価値観」です。社員一人ひとりがゲームを通じて何を実現したいかという内発的な動機が乏しいと、事業として成長することが難しくなります。会社全体として自分らしさを率直に表現する風土を大事にしていますが、それは決してただ自己主張するのではなく、自分のことを理解し、謙虚であることも同時に求めています。

「謙虚であれ」という考え方は、採用時の求める人物像にも掲げているポノスらしさの表れです。「謙虚であること」は「自分の現在地=個性」をきちんと把握することから始まります。この考え方は企業スローガンにもつながっています。スローガンである「ナナメウエ(斜め上)を、行け」というのは決して、人と違うことを求めているわけではありません。一人ひとりが自分の現在地や状態を理解しているからこそ、あえてナナメウエにずらしていけるのです。

新しい評価制度も、そのような「個性」を重視して構築しました。上から言われたことをやるのではなく、自分らしさが発揮できる価値観を重視するという設計思想です。

社員一人ひとりを理解するアセスメントツールを探索

評価制度の要となる一次評価者であるチームリーダーを支援する施策を検討しているなかで、社員一人ひとりの特性を浮き彫りにするようなアセスメントツールの導入を検討するようになりました。
入社時に適性検査をやっていなかったので、性格側面での特徴を深く把握すること、そしてそれをメンバーへの興味やコミュニケーションのきっかけにしてほしいとの期待があったのです。

そこでリクルートマネジメントソリューションズも含めた4~5社にアプローチし、情報収集してトライアル受検を進めていきました。

アセスメントツールを探す基準は「採用ツールの延長ではなく、従業員向けに特化したツールであること」でした。
たまたまSPI3 for Employeesという従業員の志向・仕事観に特化したツールの提供を開始するというリリースを見て、資料請求をしました。もともとSPIの存在は知っていましたが利用したことがなく、当初は、採用場面でよく導入されている有名なツールという印象でした。

「使い方」ではなく「可視化」を重視したツール選び

アセスメントツールを試してみると、各社それぞれ設計思想があることを感じました。多くの他社サービスは「自社にフィットする人材が簡単に見つかり、採用にも活用できる」「マネジメントでのコミュニケーションに生かせる」など、アセスメントの結果を基にした活用や拡張性に強みがあるという印象を受けました。

そんななか、SPI3 for Employeesは他とは違う印象を受けました。「人の個性を測定する」という人物理解に特化していました。実際にトライアルをしてみると、質問数が多く、報告書のテキスト分量も他社と比較すると圧倒的にボリュームが大きかったです。また報告書の説明文もバラエティに富んでいて、一人ひとりの個性を細やかに表現しようという情熱を感じました。

最初は情報量が多すぎてチームリーダーが使いこなせないのではないか、もっとシンプルで活用しやすいものが良いのではないか、という懸念もありました。しかし、活用のしやすさよりも、一人ひとりに対する把握度が深く、情報量が多いことが、自社として最も重視すべき条件だと考えたのです。活用の支援は人事でもできますし、その方が効果的なこともあります。ツールでは人物の可視化に重きを置くべきだと考え、SPI3 for Employeesの導入を決定しました

ゲーム会社ならではのアナウンスも駆使し、人物理解は「楽しい!」を実現

全社員にSPI3 for Employeesを受検してもらう際には、「ゲームで言うステータスが分かるイメージ」「自分のキャラクターが分かる」など、ゲーム会社ならではのアナウンスも行いました。ゲームの世界では、各キャラクターの特徴がデータで可視化されているのは一般的で、社員にとっても受け入れやすいものでした。能力や学力ではなく、自分の個性を理解するためという趣旨も強調したかったのです。

一方で、全社へのアナウンスとは別に、 チームリーダー以上には評価制度と絡めた本質的な実施目的についても説明しました。メンバーの個性を知り、一人ひとりの伸ばし方を考える補助ツールという位置づけを伝えることに留意しました。

本人向け報告書を社員に返却した時の反応は、手前味噌ですがポノスらしさに溢れていたように感じます。おおむね楽しんでいる様子で、メンバー間で結果の見せ合いをしたりしていました。また、社内の自己紹介にSPI3 for Employeesの結果を交えたりして、活用している社員もいました。「自分の取扱い説明書」や「仕様書」などと、ゲーム性を模した使い方をしながら自己開示に生かしているのが興味深かったですね。

全体としてエンターテイメントやゲーム性の観点を盛り込むことで、SPI3 for Employeesの実施は社員間の風通しの良さにつながっていると実感しています。自社の風土や事業内容に合わせて工夫するのも、導入や定着の1 つのキーになるように感じます。

「個性を花開かせる」ために立ち戻るツール

30名いるチームリーダーに対しては、各自のメンバーのSPI3 for Employeesのフィードバックも兼ねて、人事が全員と1対1 で面談を実施しました。結果の読み取り方についてフォローする目的もありましたが、この機会にリーダーにチームのコンディションやマネジメントポリシーを直接ヒアリングしたいという意図もありました。

この面談を通じて、メンバーフォローに悩むケースで立ち戻るためのツールとしての効果があったと実感することができました。メンバーとの接し方やメンバーの成に長悩んでいるリーダーにとっては、第三者の見解としてヒントになっていました。あるリーダーが時間をかけて何度も結果を読んで、メンバーの個性を知ろう、と思いを巡らせていた姿もとても印象的でした。

これから、アセスメントツール実施後の初の人事評価を予定していますが、そのなかで実施される、フィードバック面談で活用されることを期待しています。これまでの評価者研修では、「こういうフィードバック の仕方はやめましょう」など、ややもすると画一的な情報提供や注意事項の伝達にとどまっていました。しかしツールがあれば「こういうフィードバック の仕方が本人には響くのではないか」という前向きなコミュニケーションを勧めることができます。ツールの結果を基に、一律な伝え方ではなく個人ごとに伝え方を考えていける広がりが得られることと思います。

新入社員の受け入れにもアセスメントを展開予定

一連の人物理解・評価制度の取り組みを経て、SPI3 for Employeesは当社の「個人の価値観を重視する」風土にフィットしている手ごたえを感じています。

そこで今後は入社予定者にもSPI3 for Employeesを受検してもらい、新入社員の受け入れにも活用していこうと思っています。結果を見たうえで一人ひとりの個性に合わせたスムーズなオンボーディングを実現していける期待があります。

一般的には「1年目にはこんな経験を積んでもらい、こんなステップアップをしていくべき」というある程度一律の歩みの地図があるのかもしれませんが、ポノスは多種多様な価値観を受容することを重視しています。
社員一人ひとりの個性や価値観をマネジメントしていく難しさや大変さはあるかと思いますが、人事としてできる支援については今後も知恵を絞っていきたいと考えています。

管理部 渕野 信也 様 社長室 桜木 慎也 様

ポノス株式会社

従業員数:
178名(2023年9月30日現在)
業種:
通信・情報処理・ソフトウェアサービス 
課題:
  • マネジメント
  • 組織開発

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