お役立ちコラム

SPIデータ活用を含めたDXで、
採用・配属の精度を上げる

2022年07月11日
  • SPI3の活用

SPIデータ活用を含めたDXで、採用・配属の精度を上げる
~「思い」や「熱」に寄り添う、NECネッツエスアイのDX人材採用~

学生に寄り添い、フィットするキャリアをともに考えて、配属も鑑みて採用するというNECネッツエスアイ株式会社。その丁寧な採用方針ゆえに、離職率は低く、入社後もしっかり定着していました。しかし、内定者のポテンシャルを可視化しづらいなどの課題がありました。そこで取り組んだのが、SPIの検査結果や社内人事評価データを活⽤した、配属プロセスのDX化です。
これまでの採用に対する思いや考え方を大切にしつつ革新に取り組む、NECネッツエスアイ人事部の皆様と、SPIの活用方法についてアドバイスを行ってきた弊社の営業担当者に、採用ビジョンから課題解決に至る道のり、そして今後の展望までお伺いしました。

<プロフィール>
NECネッツエスアイ株式会社
人事部 採用課長 菰田 典子
人事部採用担当 北尾 紀嗣

株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
営業担当 北浦 安紀

寄り添い型の採用ポリシーと課題感

――まずは、御社の採用ビジョンからお聞かせいただけますか?

菰田様:
労働人口が減少し、売り手市場が続く今、優秀な人材をコンスタントに採用し続けるのは難しいのが現実です。弊社では「Candidate Experience」※1を直近の採用ビジョンとして掲げました。
候補者が弊社を認知する段階から、選考、入社に至るまで、各タッチポイントにおける体験を通して弊社のファンになっていただくために、体験を通じて与えたい印象、提供したい価値をデザインすることに力を入れています。

※1 候補者が、企業について認知してから選考が終わるまで、あらゆる局面(タッチポイント)での体験を意味する概念。

――候補者との接点を大切になさっているのですね。

北尾様:
採用活動のなかでは、「一人ひとり」を大切にすることを心がけています。
弊社は社会のあらゆる場所のインフラをつくっているため事業領域は広く、さまざまな分野にチャレンジできる可能性を候補者に示せるという強みがあります。しかし、それは候補者にとって、選択肢が広すぎるがゆえに自分にフィットする事業部を絞りこむのが難しいという側面もありました。そこで、インターンシップや面接、面談を通じて個々の学生と深く接する機会を持ち、価値観や仕事に対する思いを聞き取って採用や配属に活用してきました。それぞれの個性や性質、志向性を踏まえて、最もフィットする分野を一緒に考えていくのです。

――御社の企業規模を考えると、本当に細やかな採用をされている印象を持ちます。

リクルートマネジメントソリューションズ北浦:
さまざまな規模の企業を担当させていただいていますが、NECネッツエスアイ様の採用人数規模で、ここまで一人ひとりを見ながら細やかに学生とコミュニケーションを取っている企業はなかなかないですね。

北尾様:
採用プロセス全体では、かなりの時間を候補者とのコミュニケーションに費やしていると思います。
ただ、オンライン採用が主流になってきたこともあって、1人の候補者と接する密度が希薄になってしまっている気はしています。手元にある情報だけでは、自信を持ってその人の特性に合った配属を決められないことも増えてきました。

菰田様:
また、NECネッツエスアイは、ネットワークをコアとするICTシステムの企画・設計・構築の提供のほか、施工・通信工事、保守運用・監視サービスなど事業の幅が広く、職種においても多岐にわたりますが、一部職種に希望が偏りがちなところにも課題がありました。
学生にとって、仕事や職場は当然ながら未知の世界ですので、知っていることに興味が向くのは致し方ないでしょう。ただ本人の「やりたい」という気持ちが表面的である場合も少なくないので、単に寄り添うだけでなく、より本質的に、人となりとマッチする部門を見つけて弊社の事業への関心を高めていってもらいたいと思っています。

北尾様:
面接を通して活躍できる人材を見極める手法や配属決定方法の再現性も課題の1つでした。最終的には、継続してにコミュニケーションを取ってきた採用担当者の感覚や認識、思いというところが決め手になっていたので、「どうしてその決定をしたのか?」の検証がしづらいのです。
ただ、こうした人に寄り添う採用ポリシーがNECネッツエスアイの良さでもあり、今後も大事にしていきたいと思っています。そこで、候補者一人ひとりに寄り添うために、担当者がパワーを割くべきところだけに集中し、それ以外の部分はデータを活用するという、デジタル化でサポートできないだろうかと検討していました。

――そうした課題を解決するために、SPIデータと人事評価データを用いたDX人材採用に取り組まれたわけですね。採用時に利用していたSPIを活用いただくきっかけは何だったのですか?

菰田様:
実は、この取り組みを始めるきっかけの1つに、退職に関する課題がありました。もともと、弊社の定着率は高いのですが、数年前に若手の退職が若干増えた時期がありました。

北尾様:
これまでの離職率が低かった分、社内では「若手の退職者が増えたのでは?」と感じる人が多かったようです。従業員一人ひとりを大事にして、なるべく長く働いてほしいという会社の思いもあり、入社時の配属のマッチングの精度をもう少し向上させられないかと考えました。
SPIは採用選考時の判断基準や、面接者の参考資料として長年使用していたのですが、このデータを採用決定後の配属の場面でも指標として使用できないかと考えたことが、今回の取り組みにつながる入り口になりました。採用から配属まで、同じ指標で人物を捉えることができるのが利点の1つです。

SPIデータ×人事評価データで課題解決を図る

――配属のマッチングに課題があったことがきっかけだったわけですね。それでは、今回の取り組みの概要をお聞かせください。

北尾様:
入社後の活躍の状態と、入社時のSPIデータを分析し、事業部ごとに適応しやすい、活躍の可能性が高い人材を可視化することで、初期選考の最適化、配属の精度向上、活躍できる人材の再現性向上を目指すことを目的にしました。
これまで、採用選考時の判断基準や、面接者の参考資料としての使い方が主だったSPIを、こうした形で活用したのは大きなチャレンジで、新しい取り組みでした。

――具体的には、どのような使い方をするのでしょうか?

菰田様:
まずは、社員の人事評価データを数値化します。人事考課、業績評価、コンピテンシー※2、業績レビュー、能力レビューなどですね。これに、SPIデータの対人面、協調性、活動力、課題遂行、組織適応、企画力といった傾向分析を掛け合わせて、クラウドサービスのSPI-View※3を活用し、データの可視化とマッピングを行います。
これによって、「活躍可能性の高い人材の可視化による初期選考」「職種ごとの活躍人材の可視化による職種別採用」「適性部署のマッピングによる初期配属検討」「上司、チーム員、コーチャーとのマッチング確認」といったことが可能になりました。

※2 優れた成果を創出する個人(ハイパフォーマー)に共通して見られる能力や行動特性のこと。
※3 弊社のクラウドサービス。「個」と「組織」のありようをSPIで明らかにし、心理学的アプローチにもとづく人材マネジメントの実現に役立つ。

<取り組みの概要> 

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<SPIを活用してできること>
活躍可能性の高い人材の可視化による初期選考
・職種ごとの活躍人材の可視化による職種別採用
・適性部署のマッピングによる初期配属検討
・上司、チーム員、コーチャーとのマッチング確認

――配属にSPIデータや人事評価データを活用することについて、社内の反応はいかがでしたか?

菰田様:
前々から、採用や配属にデータを活用することについては話が出ていましたので、特に反発もなくスムーズに導入できたと思います。今年(2022年)の新入社員が初めての取り組みなので、現場からのリアクションやオンボーディングの結果については、研修後に配属先に着任してから確認していく予定です。

――今回の取り組みを経て、現時点で感じている成果があれば教えてください。

北尾様:
配属の理由について、自分の感覚にデータという裏付けができたことで、より自信を持って配属先を決めることができました。また、新入社員に配属の意図を聞かれた際、データ分析の結果も踏まえてフィードバックしたところ、非常に深く納得してくれました。
潜在的にマッチしている部門を見つけて配属できたこと、それを新入社員自身に理解してもらえたことで、データの活用にとても手ごたえを感じています。

菰田様:
「本人が知らないだけで、こんな可能性がある!」ということを、データをもって示す効果はとても大きいですね。新入社員の可能性を広げる意味ではもちろん、私たちとしても、偏りがちな職種の希望を平均化し、各部門の人材ニーズにマッチした人を配属することで、応えていきたいと考えています。

DX化で「人だからこそできる業務」に注力してほしい

――最後に、今後の展開についてお聞かせください。

北尾様:
まずは、先ほどお話しした配属の精度を高めていきたいですね。今年の結果を振り返って、さらに進化させていきたいと考えています。

菰田様:
選考段階において、弊社の事業について理解を深めてもらう目的でもSPIを活用していきたいです。内定者の希望を聞き、SPIで見えない可能性も拾いつつ、弊社でできることについて早い段階から一緒に考えていけたらと思います。

北尾様:
今年の配属での取り組みを契機として、SPIからデータの活用範囲が広がっています。もともとは採用時に利用していた適性検査ですが、個人の資質・適性を可視化しているという意味ではHRデータの一種であり、既存社員のデータも分析し、施策につなげていける可能性を感じています。部署別や職種別でもデータの分析を始めており、今後活用していく予定です。

菰田様:
実は、SPIは面接者やリクルーターとして学生や候補者に接する社員にも受けてもらっています。結果を基に自分自身の特徴が把握でき、学生とのコミュニケーションをよりスムーズにするために活用できるからです。

リクルートマネジメントソリューションズ北浦:
「データを用いた自己理解の促進」は入社後の研修でも実施できる内容ですので、ゆくゆくは既存社員の育成などにも活用していただけるように、サポートできればと考えています。

北尾様:
「ツールを使って選考や配属をする」「データを使って育成する」というと、ドライなイメージを持たれる方も多いと思うのですが、個人的にはDX化によって「人だからこそできる仕事」に集中できる環境をつくりたいと思っています。
毎年、私たち採用担当は1000人以上の学生と会っていますが、本当に一人ひとりに誠実に接することを心がけています。どんなにDX化が進んでも、候補者に会うことでしか得られない情報や感覚値に勝るものはありません。
SPIデータを含めたDXによって、人の熱をもって真摯に取り組むところと、データを用いて生産性を高められるところの切り分けをしながら、企業にとっても、候補者にとってもより良い採用を実現していきたいですね。


NECネッツエスアイ株式会社71_img_02.jpgのサムネイル画像
従業員数:7675名(2022年3月現在)
採用数:101~200名
業種:通信/情報処理/ソフトウェアサービス
採用概要:SPI利用歴5年


インタビュー実施2022年5月

>>適性検査の活用法や種類について詳しくはこちら


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