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中途採用で入社後ギャップが起こる理由とは?
適性検査を活用して早期退職の対策を
入社後ギャップを防ぐために
「即戦力を期待して中途採用した社員が、力を発揮しきれていないように感じる」
「表面上はうまくやっているように見えた中途社員だが、2年経過する前に離職意向を示されてしまった......」
社内に馴染んでしまうと意識しないものですが、会社には独特の文化や仕事の進め方があります。
中途で入社してきた人に「前職とこの点が違う」と指摘されて、初めて自社独特の風習に気づくことも多いでしょう。
しかし「この点が違う」という入社後ギャップが大きすぎる場合、本人はそのことを周囲に告げないままに早期離職に至る顛末となりがちです。
就労経験がある中途社員ならではの入社後ギャップは、対策に苦慮している人事の方も多いようです。
本人が何を望み、どのような想定をしているかは、一人ひとり異なるからです。
ただし、多くの中途社員が感じがちなギャップには3つの共通の視点があります。
その視点のフレームワークを持ちつつ、本人の希望を捉えれば、ギャップを埋めるヒントがあるかもしれません。
今回は、早期離職の多くのケースを研究することで見いだせた3つの視点と、対策ポイントを取り上げます。
現在早期離職にお悩みの方のヒントになるのはもちろんのこと、あらためて自社独特の風土や仕事の進め方を、ゼロベースで見つめなおす参考になれば幸いです。
INDEX
入社後ギャップで起きる「2年目の壁」とは
「新卒採用した社員が3年で3割辞める」といわれて久しいです。
厚生労働省の調査でも、新卒採用で入社した社員が3年以内に30%以上辞めている状態は、景気変動にかかわらず恒常化しています。
新卒採用に限らず、苦労して採用した中途入社の社員が早期に辞めてしまうのは、頭の痛い問題でしょう。
早期退職が相次ぐと、採用や教育にかけた費用と工数が無駄になるだけでなく、社内の既存社員のモチベーションにも影響します。
対策を検討するならば「早期離職してしまった」という結果にとらわれるのでなく、転職者が適応に至るまでのメカニズムを考えることが重要です。
人が新しい環境に飛び込む際、これまでの環境同様、すぐに伸び伸びと仕事ができることはまれでしょう。
多くの人は、新しい仕事の進め方・人間関係などを慎重に確認しながら「馴染んでいく」、つまりは「適応していく」プロセスを踏みます。
弊社では適応のプロセスを以下の4つの観点で分解し、転職者の状況を研究しています。
- 職場への適応感
- 仕事への適応感
- 成果の実感
- 社内キャリアの展望
その研究の一環で、4つの観点×転職後の期間を比較した調査で着目すべきポイントがありました。
転職後1~3年の時系列で調査を解釈したところ、「2年目の壁」とでも呼ぶべき現象が見受けられたのです。
上記図表のとおり、転職後1~2年以内の群の得点が全般的にやや下がっています。特に「社内キャリアの展望」の落ち込みが特徴的です。
しかし、2~3年以内の群では「社内キャリアの展望」は回復しています。「成果の実感」も高くなっていることから、仕事の成果を実感していくことで、社内キャリアの展望が開ける感覚を得られているのかもしれません。
本調査は残念ながら、同一の人を時系列で追いかけた調査ではないため、適応感がある人が離職せずに定着した結果の可能性もあります。
ただしこの調査結果からは、たとえ即戦力を期待して採用する中途採用者であっても、「転職後2年」は丁寧にフォローをしていくことが望ましいことがご理解いただけるでしょう。
参考:学歴別就職後3年以内離職率の推移
参考:中途採用者の適応に関する実態調査報告
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入社後ギャップと早期退職を引き起こす「3つの壁」とは
弊社が中途入社者にインタビューを行い、中途入社者の適応上の"壁"をまとめたところ、適応の「3つの壁」と「6つの症状」に集約されました(下記図表)。
転職先の業務への習熟だけではなく、組織文化やその会社特有の仕事の進め方への戸惑い、また人間関係の構築などにも苦労するなかで、「自分は周囲についていけるのか」「やりたいことができるのか」といった不安を抱えている状況が見て取れます。
● 早期離職を引き起こす「3つの壁」と、注視すべき「6つの症状」
「壁」をさらにひもとくと「思っていたことと違った」と解釈できます。つまりは入社前に思い描いていたこととギャップを感じたことにほかなりません。
早期退職を引き起こす理由の多くは、入社後に覚える違和感、いわゆる「入社後ギャップ」だといわれています。
3つの壁について、具体的に解説していきます。併せて、代表的な6つの症状についても、自社の中途社員に思い当たる状況がないかチェックしていただければ幸いです。
参考:人と企業の新しい関係性を結ぶ、入社者支援のポイント
● 会社文化・職場風土での入社後ギャップ
思い描いていた社風と違ったり、前職の風土と大きく違ったりすることは、最初に訪れる適応の壁でしょう。
特に中途採用の場合は、カルチャーが合わないと、いくらスキルを所持している方でも、本来の力を発揮しにくいといえます。
例えば風通しが良い会社で革新的なアイディアを出す実績があった人を、即戦力期待で採用したとします。
しかし自社が、上司がすべてを決めるトップダウン文化が強く、規則を重んじる体制なのであれば、その人の良さは表出しにくいでしょう。
優秀な人であればあるほど「この文化・風土であれば自分の力は生きない」と思い、早めに見切りをつけて、次の道を模索する可能性が高くなります。
● 仕事での入社後ギャップ
中途社員の採用のほとんどは、職種別採用です。そのため仕事でのギャップは、直接的な離職意向につながりやすいといえます。
そうはいっても、中途採用の場合は仕事の内容については新卒採用と比較しても入念に情報提供を行い、丁寧なすり合わせをしているはずです。中途採用で起きがちな入社後ギャップは、仕事内容そのものよりも「仕事の進め方」にあることが多いです。
とかく仕事の進め方・プロセスは、入社してみないと分からないという声もよく聞かれます。
特に「営業職」「開発職」「システム職」などメジャーな職種の場合、その仕事のプロセスは、各社で驚くほど異なっているはずです。
例えば営業職で「顧客との関係性を築き、売上を獲得する」という最終ゴールはどこの企業でも同じかと思います。しかし顧客との関係性の築き方において、重要視されるポイントやスピード感は企業によって変わるでしょう。
具体的には、頻繁に通うことで信頼を築く営業スタイルなのか、ロジカルで完成度の高い提案を重視する営業スタイルなのかによって、プロセスは大きく異なります。人によって合う・合わないが出てくる可能性があります。
仕事の進め方の違いは、軽微であれば慣れていくことも想定されます。しかし本人が成果を上げるために重要視しているプロセスが異なっている場合は、軌道修正が難しいといえるでしょう。
● キャリア・成長での入社後ギャップ
若手社員の中途採用で起こりがちな現象として、本人が思い描くキャリアや成長との入社後ギャップも見過ごせないポイントです。
自律型キャリアが叫ばれる昨今、自身で将来にわたってのキャリアパスやライフプランを思い描く人は少なくありません。
入社してきた社員は、自社の仕事を通じて「何の経験を積みたい」「何の筋力を鍛えたい」などの思惑があるはずです。
想像していたようなキャリアや成長が見込めない場合、自分の人生で「遠回りをしている」ような心情に陥りがちです。
キャリアアップのための転職が当たり前になっている世代では、もっと自分の成長に寄与する経験を求め、他の企業を探すのはやむなしといえるでしょう。
入社後ギャップを防ぐためには「本人理解」が要諦
入社後ギャップを防ぐためには、本人が「何を望んでいるのか」を知ることが第一歩となります。
本人が望む風土・仕事・キャリアを理解することで、入社前(採用時)のすり合わせができるのはもちろんのこと、入社後のフォローも適切に行えます。
中途採用で起こりがちなのは、即戦力を期待するがあまり「経験」「実績」「スキル」などを重視しすぎることです。スキルなどが適切に発揮されるためには、本人が持つ性格的な特性を知る必要があるという前提を忘れてはなりません。
ただし、仕事経験がある中途採用では、本人が本来持っている性格特性の確認が甘くなりがちで、さらにこれは人の目で観察しにくいという注意点があります。
そのため、採用時には本人特性をあぶりだす"適性検査"を実施することが推奨されます。人間の変わりにくい資質を測定する、リクルートマネジメントソリューションズの「SPI」ならば、職歴に左右されない本人の持ち味が確認できるのです。
適性検査は採用プロセスにおいて欠かせないツールであり、客観的な目線で個々の能力や適性を把握しながら採用ミスマッチを低減するためのステップでもあります。
適性検査の目的や活用方法については以下の記事もご参考にしてください。
>>適性検査とは?押さえておきたい活用方法や検査の種類について
実績やスキルは職務経歴書などで確認し、面接や入社後フォローは本人の特性を踏まえたコミュニケーションを取ることが重要となるでしょう。
● 入社前に行うべき、入社後ギャップを防ぐ施策
SPIには、「職務への適応のしやすさ」という項目があります。14の観点で「どのような特徴のある仕事に適応しやすいか(しにくいか)」が情報提供できます。
▼「職務への適応のしやすさ」SPI報告書より一部抜粋
面接の際は、あらかじめ配属先の「仕事の進め方」に着目し、以下のようなコミュニケーションを取るとよいでしょう。
本人が適応しやすい仕事の特徴をもとに、積極的に情報提供をし、入社への動機づけを高める
【例】
「(チームワークに適応しやすい人に対し)弊社の営業チームは単独で動くというより、ナレッジをみんなで集めて、周囲と協力しながら案件を進めるスタイルなんですよ」本人が適応しにくい仕事の特徴をもとに、正直に情報開示をしたうえで、本人が適応できるかどうかを確認する
本人が適応しにくい仕事の特徴をもとに、正直に情報開示をしたうえで、本人が適応できるかどうかを確認する
【例】
「(チームワークに適応しにくい人に対し)弊社の営業チームは週に数回チームメンバーでアイディアを出し合うミーティングをしているのだけど、〇〇さんは前職で周囲とどのような協働をして仕事を進めていましたか?」
もちろん、仕事への適応以外にも「意欲の度合い」「ストレスへの耐性」など、基本的な本人特性もSPIでは出力されます。
あらかじめ気になる点をSPIでピックアップすることで、短時間でも的を絞った深いコミュニケーションが可能になります。
● 入社後に行うべき、入社後ギャップを防ぐ施策
SPIには、「組織への適応のしやすさ」という項目があります。4つの観点で「どのような風土特性がある組織に適応しやすいか(しにくいか)」が出ます。
▼「組織への適応のしやすさ」SPI報告書より一部抜粋
「秩序重視の組織」「創造重視の組織」などの観点があるため、複数の配属先候補がある場合は、より適応しやすそうな組織に配属することを意識してください。少なくとも初期の風土ギャップは防げるでしょう。
さらにSPIでは、本人とコミュニケーションを取る際の注意点・アドバイスも情報提供しています。
▼「コミュニケーション上の注意点」SPI報告書より一部抜粋
本人が受け入れやすいコミュニケーションが得意な先輩を、メンターにつけるなどの工夫が可能になります。
また「キャリア・成長」で本人がギャップを感じた際も、本人に合わせたフォローに活用できます。
例えば「結果重視」のコミュニケーションを好む人には、「何が不安なのか?」と率直にヒアリングすることが有効です。
そのうえで、本人が求めるスキルなどを聞けたら、実際に自社で何年・どのような経験を積めばスキル開発ができるなど、実例をもとに伝えられればなおよいでしょう。
中長期の目線で「本人理解」を捉えるべき
いくら転職が当たり前の時代になったといっても、終身雇用が色濃く残る日本では、転職機会は本人にとって緊張感が高まる場面です。
入社後ギャップが原因で早期離職につながってしまうことは、企業側のデメリットはもとより、本人にとっても手痛い経験となってしまうでしょう。ただし、求める経験やキャリアは一人ひとり異なり、どのような企業でも叶えられるものではありません。埋められないギャップがある場合は、離職につながるのはやむを得ないこともあります。
そんな時でも本人のことを理解し、本人の気持ちに寄り添ったコミュニケーションを取ることで、少なくとも本人にとっては離職が「苦い経験」にはならないはずです。
前述した「2年目の壁」を乗り越えるまでは、受け入れ側の責任と思い、フォローをする意識を大事にしてください。
自分のことを理解してくれた感謝と共に、次の企業でもっと成長して恩返しをしようと前向きな気持ちになるかもしれません。
たとえ自社では中長期のご縁がなかったとしても、どこかの企業で戦力として羽ばたいてほしいという思いを持ち、本人理解に努めるとよいでしょう。
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● テストの選び方がわかるので、導入検討がスムーズ
● 人柄、職務、組織への適応力など、測定項目がわかる
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