お役立ちコラム

若手社員の定着・戦力化実態調査から見る、
SPIと入社後評価の関係性

2018年02月28日
  • 人事調査・研究

適性検査とは、応募者の人生と企業の将来を左右するツールです。その結果一つで、希望の企業に入社できるかできないかが決まる可能性があります。企業にとっても大事な入社者を決める材料の1つです。だからこそ、「あたらない」適性検査をつくるわけにはいかない。適性検査は、応募者の強み・弱みを正しくとらえ、企業に合う人材を採用するための信頼できる情報でなければなりません。
私たちは、SPIは本当にあたっているのか、活躍する人材がわかるのか、ということを定期的に検証しています。その取り組みの1つが「若手社員の定着・戦力化実態調査」です。今回は2017年に弊社で行われた調査結果を抜粋しながら、SPIと若手社員の定着・戦力化の関係性について明らかにしたいと思います。

適性検査の"品質"の測り方

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適性検査のような、目に見えないものを数値として可視化するサービスでは、その結果の「確からしさ」を確認したうえで提供することが非常に重要です。この「確からしさ」を表す概念は「妥当性」と言い、利用目的等と照らして妥当な検査なのかどうかを示します。「妥当性」にもいくつか種類がありますが、SPIのような採用時に利用される適性検査では、入社後の人事評価や活躍度と適性検査の結果の関連性を示すことで「妥当性」を確認することが多いです。

SPI3はこの妥当性を非常に重視しており、多くのお客様にご協力のもと、定期的に調査を行っています。ここからは、2017年に実施した「若手社員の定着・戦力化実態調査2017」の結果を具体的にご紹介していきます。

また、企業側にとっては、妥当性の高い適性検査を導入することで、優れた人材を選考し、適材適所の配置を行うことが可能です。
「適性検査」は、採用プロセスにおいて欠かせないツールであり、個々の受検者の能力や性格を客観的に評価し、採用におけるミスマッチを低減する助けとなります。
適性検査の内容に関しては、下記を参考にしてみてください。

>>適性検査とは?押さえておきたい活用方法や検査の種類について



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「若手社員の定着・戦力化実態調査2017」調査概要

「若手社員の定着・戦力化実態調査2017」は、SPI3を採用時に利用している83社11,330名の若手社員(新卒入社1~3年目)とその上司を対象に行いました。まず上司に、若手社員の「総合評価」「社会人基礎力」「実践的思考力」「組織適応に影響を与える諸要素」について5段階で評価してもらい、次に若手社員の採用時のSPI3の結果と上司評価の関係について分析を行いました(調査概要と調査構造、調査項目については以下をご確認ください)。

今回は、この調査の中から、SPI3と上司の総合評価(「将来性」「職場適応度」「職務適応度」「メンタルヘルス良好度」)との関係から見られる内容について抜粋してお伝えします。

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上司評価総合とSPI3の関係について ~共通して見られた特徴~

採用選考時に実施されたSPI3の基礎能力検査の得点は、「将来性」「職場適応度」「職務適応度」「メンタルヘルス良好度」のすべての評価と有意な関係を示しており、SPI3で測定している基礎能力が入社後の適応に幅広く影響することが確認されています。調査対象者が採用選考を経て選抜された入社者(つまり、基礎能力得点が高い方が比較的多い)のみであることを考慮すると注目すべきポイントであることが分かります。また、基礎能力の中でも、論理的思考力等との関係性が深い「非言語能力」でより顕著に表れていることがうかがえます。

ただし、知的能力は高ければ高いほど入社後のパフォーマンスが高いというよりは、企業や実際に任される職務内容によって最低限必要な知的能力を有していることが重要と考えられています。

「将来性」とSPI3の関係について

「将来性」は「近い将来職場の中核メンバーとして活躍していく可能性が高い」という項目を使用しています。「将来性」とSPI3は多くの尺度で有意な関係を示しています。下のグラフは、上司評価の上位群(○)、中位群(△)、下位群(×)に若手社員を分け、各群のSPI3の平均値を比較したものです。

基礎能力以外で特徴的な尺度をピックアップすると、上司評価の高位群は、社会的内向性が低い・身体活動性が高い・活動意欲が高い・自信性が高い・従順性が低い・回避性が低い・自己尊重性が高いといった特徴があげられます。こうした特徴は、困難な状況に対して、自ら主体的・自律的に課題を進めるような人物イメージとして捉えられます。本調査において、「将来性」は社会人基礎力の"前に踏み出す力"との関連性も確認がされており、こうした特徴は企業人としての「将来性」について、高く評価される要素として考えられます。

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〇上位群(4~5)、△中位群(3)、×下位群(1~2)

「メンタルヘルス良好度」とSPI3の関係について

「メンタルヘルス良好度」は「ストレスをためず、心身共に健康に働いている」という項目を使用しています。本調査においての下位群は全体の1割未満にとどまっており、大半の方がメンタルヘルスを良好に保っていることがうかがえます。

「メンタルヘルス良好度」とSPI3も多くの尺度で有意な関係を示しています。基礎能力以外で差が大きな尺度は、身体活動性や自責性等です。負荷のかかる状況でも悲観的にならず前向きに行動できることが、若手時代に心身ともに健康に働くうえで重要になっていると考えられます。

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〇上位群(4~5)、△中位群(3)、×下位群(1~2)

まとめ

今回は、全体傾向としての上司総合評価とSPI3の関係について抜粋してお伝えをしてきました。SPI3が、入社後の若手の活躍状況と一定程度関係していることをご理解いただけたのではないでしょうか。
ただ、こうした上司評価との関係を自社にそのまま展開する場合には注意が必要です。なぜなら、企業・業界・職種が異なれば、上司評価とSPI3との関係性も異なってくるからです。実際、調査の中では、年次別・職種別・業界別の違いも扱われており、結果の違いも確認されています。

重要なのは、こうしたデータも参考にしていただきながら、自社でデータを蓄積し、自社の指標との関連性を確認することです。まだデータが蓄積されていない場合などは、自社で活躍している人材や自社の仕事で求められる特徴と調査結果からみられる特徴が一致しているかを考察してみることから始めてみるのがおすすめです。ぜひ、自社にあった適性検査の使い方を見つけてみてください。

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