導入事例

企業成長を支える「相互理解」という礎の構築 
~社員の特性を見える化するデータ活用~

株式会社デジタルキューブ
目的・課題

フルリモート環境下での組織拡大に伴い、全従業員の特性をツールを用いて理解を深めたい。

SPI3の
活用方法

全社員にSPI3 for Employeesを実施し、1on1などのマネジメントや自己理解に活用している。今後は相互理解にも利用予定。

効果

特性把握によりコミュニケーションが深まっている。従業員データを参考に採用基準にも反映できている。

成長しているベンチャーだからこそ、「外の視点」が重要に

(代表:小賀)
もともと弊社は2006年に3名からスタートした会社です。
当時は、多くの企業にデータセンターがあって、ハードウェアがメインの時代でしたが、
オープンソースというソフトウェアの開発手法に共感し、可能性を感じて起業しました。現在は、WordPress(世界中で利用されているWEBサイトを作成できるソフトウェア)を軸とした事業を行っています。

創業後は、オンライン上の同業のコミュニティ経由で知り合ったメンバーで従業員を増やしていきました。メンバーとはインターネット上のコミュニティで知り合い、当初は年齢も居住地域も分からず、知っているのはアカウント名だけという状態からのスタートでした。そのような経緯もあって、居住地が全国に散らばっていたので、当時から固定のオフィスは置かず、オンライン上でのやり取りだけで事業を行っていました。今思えば、フルリモートワークの“はしり”だったのでしょうね。
事業の成長にともない、ワーキングスペースとしての拠点を設立しましたが、出社義務はありません。チーム単位で集まるのは自由ですが、リモートで仕事をすることが前提となっています。

事業が拡大するにつれ、創業・初期メンバーだけではなく、外の視点を持つメンバーの必要性を感じるようになってきました。

(人事:恩田)
私もその1人で、実はデジタルキューブの取引先として接点を持ち、そのまま「楽しそうに仕事をしている会社だ」とベンチャー独特の雰囲気に惹かれて入社しました。

現在は人材開発の責任者をしていますが、入社後は受託開発プロジェクトのマネジメントをしていました。私は同業のコミュニティ経由ではない外部からの入社1人目でしたが、外の視点から当社を見てみると、評価への透明性に対しては、モヤモヤする思いを感じることもありました。同質性が高い集団であれば違和感がないことでも、他の視点から見ると異質に感じることもあります。

(代表:小賀)当時、経営メンバーも同様の課題感を持っており、人事としての基礎固めをすべきではないかと考えていました。従業員数が20名に近づいた頃から組織づくりの必要性を感じ、「人材開発」のポジションを設け、本格的に取り組むことにしました。

組織拡大に耐えられる組織・採用・人事の土台をつくりたい

(人事:恩田)
かつては、規模が小さかったこともあり、代表のみが見える形で評価・報酬・等級を決めて運用していました。しかし組織が20名前後になると、明確な評価基準を作り、「何によって評価に差がつくのか」を従業員に説明できる状態にする必要が出てきます。私自身が現場スタッフでいた時に感じたモヤモヤを他の社員や今後入社する社員に抱かせてはいけないという思いも、動機の1つになっていました。

(代表:小賀)
順調に進んでいた採用活動も変革を迫られていました。技術コミュニティの運営に積極的に参加し、そこで出会った方のなかで自社に合う方を見極めて、スカウトするというのがそれまでのやり方でした。しかし新型コロナウィルス感染症の流行で各種イベントが縮小したことや採用人数が増えたことがきっかけとなり、広く社会に人材募集をし、自社に合う方を見極めていくという仕組みをつくる必要が出てきました。

究極的にはWEB開発を事業として行っている企業は他にもあります。そのようななかで、当社が選ばれる差異化ポイントは「人」だと思いました。会社の成長の土台になる人事の仕組みを整えていくことで、自社に合う人材を採用し、育てて、当社の強みを磨いていきたいと考え、各種の取り組みをスタートさせたのです。

アセスメントデータが全社員の共通指標に

(人事:恩田)
人事制度を見直すにあたり、まずは現在活躍している当社のマネジャーの傾向を探ろうと思いました。そこで客観的なデータで人物特性を測定する管理者適性検査(NMAT)に興味を持ち、リクルートマネジメントソリューションズに問い合わせをしました。

営業担当の提案のなかで、従業員向けのアセスメントツールであるSPI3 for Employeesの存在を知りました。管理職に限らず、全従業員の特性を理解し、結果を自己理解につなげたいという思いから、今回のニーズにより合ったSPI3 for Employeesを全社員に実施することに踏み切りました。測定内容の網羅性や、WEB受検できる環境などが魅力的でした。また当社のような受検人数が少ない場合には、初期費用がかからず受検した分だけ料金が発生する形態は利用しやすかったのも良かった点でした。

当社にはもともと「○○診断」のようなものが好きな社員も多く、自分の結果が後で返却されるということもあり、受検には特に抵抗がなかったようです。

実施後は、全メンバーに本人フィードバック用の報告書を開示しています。
管理職のみが閲覧できる情報共有ツール上では、個人ごとのカルテのようなものを作成しており、MBOシートや評価情報などの人事情報と併せてSPI3 for Employeesの結果も閲覧できるようにしています。人材を巡る議論はともすると抽象的になりがちですが、SPI3 for Employeesという共通の指標があることで、関係者間での議論の素地が揃う効果を感じています。

アセスメントを活用した1on1で信頼の土壌を形成

(代表:小賀)
SPI3 for Employeesの結果を元に、1on1ミーティングも開始しました。上司・メンバー間の1on1を行う前にしばらくの間、人事・メンバー間で実施することにしました。

アセスメント結果は、コミュニケーションを工夫する材料として活用しています。社員側も「自分のことを理解したうえで接してくれている」と感じやすくなっているように思います。若手社員にとっても、人事との1on1は、上司以外への相談ルートとして役に立っているようです。

(人事:恩田)
印象深かったエピソードとして、内気でのめり込む気質が強い若手エンジニアとの1on1があります。
半年間にわたる人事との1on1を通じて、お互いのプライベートまで話をして、信頼関係を構築してきました。
その社員がとある開発案件で、納期ミスをしたのです。本人の特性も踏まえ、ここはしっかりとフィードバックするべきと判断し、きちんと叱ることにしました。ミスの影響範囲や顧客視点など視野を広げて捉えるように指摘をしたところ、後日きちんと行動レベルでの振り返りを行い、次の改善行動にまでつなげようとしてくれました。

これは1on1による信頼関係があったからこそ、成立したコミュニケーションだと思います。さらにアセスメント結果で本人の性格を熟知していたため「特性的にもこのタイミングでこのような伝え方でフィードバックしよう」という決心にもつながり、結果的にきちんと本人の心にも響くような関わりができたのだと思います。

採用に不慣れな現場社員のサポート材料に

(人事:恩田)
SPI3 for Employeesが社内に浸透したことを受けて、本年度の採用からは採用のSPIシリーズも導入しています。性格特徴は同じフレーム・尺度なので、両方を利用することでよりスムーズに採用から入社後をつなげることができています。今は、カジュアル面談から本選考に進む際に受検してもらっているのですが、SPI結果があることで「当社の○○さんに近い特性だ」「この部署に配属したら、こんな動きをしてくれそうだ」など、人物イメージを立体的に組み立てられるようになりました。

面接前には人事と役員でSPIの結果を見て、30分ほど会話をするようにもしています。共通のフレームがあることで、すり合わせしやすい手応えも感じています。

(代表:小賀)
現場社員には採用選考・面接に不慣れな社員もいます。面接することに不安がある状況でも、「どの基準で選ぶか」「何を確認すべきなのか」というものさしが揃う安心感があると思います。また、時間が限られているなかで、的確な質問ができるメリットもあります。

リファラル以外の本格的な採用活動は今年始めたばかりなのですが、総じてSPIがあることで「求める人物と会うことができている」感覚があります。今後は内定者のオンボーディング合宿で、お互いのSPI結果を開示し合いながら、相互理解にも使っていきたいと思っています。

会社規模や執務環境を問わず、業務以外でも人とのつながりを求めるもの

(人事:恩田)
現在は1on1や上司側のSPI3 for Employees活用が進んできているので、今後は社員間の相互理解にも活用していきたいと思っています。

かつて手作りの「タイプ診断」の結果を活用して相互理解セッションをやったことがあり、参加者から好評で、企画側から見ても相互理解が進んだ実感がありました。今秋に久しぶりに全社員が集合して、合宿形式のオフサイトミーティングを予定しており、今回はSPI3の結果を使った相互理解を行う予定です。

全社員に一度回答してもらいましたが、キャリアが変わるタイミングで再度回答してもらい、志向や価値観がどう変化するかを確認してみたいと考えています。本人のその時点での状態を客観データをもとに振り返ることで、新しい環境でさらに主体性を発揮してくれることを期待しています。アセスメントデータを全社員分、継続的に蓄積していけば、ゆくゆくは会社全体の傾向分析などにも展開できそうです。

(代表:小賀)
創業以来フルリモート勤務を原則としていた当社が考える「フルリモートを成立させる条件」は「見える化」です。入手できる情報に格差が少しでもあると、信頼関係の土壌が崩れます。その「見える化」の対象は、タスクなどの仕事だけではありません。一緒に働く相手の仕事の進め方や価値観も可視化するために、アセスメントツールは大きな武器になります。

今振り返ると、組織拡大の壁が分かっているのであれば、創業当時から人物理解や相互理解は進めておいても良かった気がします。社員人数にかかわらず、相互理解は重要な要素です。当社もコロナ禍を経て、あらためて一緒に働く人と業務以外のつながりも求めていたのだと感じました。今後、働く場所が全国にとどまらず全世界に広がっていたとしても、データも活用しながらコミュニケーションの質を高め、事業成長を実現していきたいと考えています。

代表取締役社長 小賀 浩通 様 執行役員 人材開発室長 恩田 淳子 様

株式会社デジタルキューブ

従業員数:
22名(2023年8月時点)
業種:
通信・情報処理・ソフトウェアサービス 
課題:
  • マネジメント
  • 人材要件設計
  • 組織開発

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